ぼやけたスニーカー

 本を読んでいると、無性に文章を書きたくなってくるのは何故だろう。
いつも自分の文章力、というか国語力の無さに、嘆きながら書く羽目になるのに、懲りずに書く。

 物の役目が過ぎる時、というのがあるのだろう。最近だと、傘が壊れ、土鍋の蓋が割れた(これに関しては私の不注意が大きい)。
残念であったが仕方がないので、泣く泣く新しい物を用意した。

昨日久しぶりにスニーカーを履いて出かけると、そんなにぼやけたものを何故履いているのか、と人に言われた。
少し動揺しながら、これには色んな思い出が詰まっているのだ、と必死に説明したが、その人はまだ何か言っていた。
スニーカーは、札幌にいた時に購入し、たくさんのライブを共にしてきたものである。
私にとって思い出深い物であるが、他人からすれば、「ぼやけたスニーカー」。
最初は古着にしては、綺麗な紫であったスニーカーも色落ちし、ムラになってよれよれである。
改めてそれを眺めながら、このスニーカーの役目は、きっと終わったのだ、と思った。


礼を言って、先程ゴミ袋に入れた。そういう時の思い切りは、昔より良くなってきた。
あぁでも本当に色々なライブの時に履いていた。あの時もあの時もあの時も。
取っておいても仕方がないとはいえ、手放すとなると寂しいものだ。