絡まる

 コードというものはどうしてあんなに絡まるのだろう。
抜いたり挿したりを繰り返し、抜いたものはそこに放っておいた家電のコード達が電源タップを中心にぐちゃぐちゃに絡み合い、現代アートですと言い張れば、どこかに展示させてもらえるのではないだろうかと思えるような様相になっていた。
気力がわかずにしばらく見て見ぬ振りをしていたが、昨日ようやく手をつけた。
台所の奥からラッピング用のカラータイを出し、コードを一つ一つまとめてはそれで結ぶ。
終わった後の、爽快感と言ったらこの上なく、現代アートがなくなった床を見ては、一人不気味ににやつく始末。
その勢いに乗り、今度は台所に向かった。
お恥ずかしい話だが、ここしばらくかすかな異smellが排水溝からするようになり、強力洗剤をそっと投入してみたりもしたのだが、うんともすんとも効かなかった。
今しかない・・・意を決しビニール手袋を手にはめる。
ごみ受けを外し、更に奥の蓋を開けると、何かノスタルジーを感じる強烈な臭いが鼻を突く。
この臭い何だっけ・・・?遠ざかっていく意識と共に思い出した。
これは・・・しばらく掃除していない時の実家のカル(亀)の水槽の臭いだ!
私は意識を取り戻し、鼻呼吸をやめ再び作業に取り掛かる。
手の届かない所に溜まる汚れと格闘し、強力洗剤をぶち込みしばし待つ。
その後洗い流し、蓋をはめ、ごみ受けを戻す。
あぁ臭いがしない、素晴らしい、ヒャッホー。
無駄にテンションが上がったが、振り返ると、「片付け・掃除」どちらも当たり前のことをしただけであった。


 今年の梅の申込書が届いた。
昨年は消費が捗らなかったので、今年はイキらないでおこうと思っていたが、申込書を眺めていると、暴走しそうになるので困る。
昨年たくさん作った梅シロップも、久しぶりにかかった歯医者で発覚した深い虫歯に恐れをなしてほとんど飲まなかったし。梅味噌も結局使わなかったし、梅醤油も失敗したし。
好評だったカリカリ梅はやっておこうかな・・・でも冷蔵庫にまだあるし・・・
しかし時期を逃せば来年まで待つことに・・・いや、今年は・・・

うずうずする季節がやってきました。

まだ春なのに

 桜が散ってしまった。
春のフレッシュ感も徐々に薄れてきて、気温の上昇と共に私の意識が向かうのは、彼らのことである。

それはKAとG。

先日、安くて美味しい居酒屋があると、友人が店に連れて行ってくれた。
美味しい-など言って料理に舌鼓を打ちながら、ふと壁を見上げるとG。
中位の大きさで少し透け感のある佇まいは、まだ大人になりきっていないようで、大人と子どもの狭間で揺れるGの心が、ソロソロとした動きにも表れているかのよう・・・なんて悠長に思う余裕はこちとら持ち合わせていないのである。
飲食店にGは付き物。それは当たり前のことなのかもしれない。
当たり前のことなのかもしれないが、やはりGという強烈な存在感のある生き物を、どこにでもいるから、の一言で片付け、隣り合わせでずっと食事をするというスキルを、若輩者の私は身に着けていなかった。
しかし、私も大人であるから、「あっ・・・」と笑いながらGを指差し、もたれかかっていた壁からすぐ背中を離しつつも目の前の料理は平らげたが、頭の中はGのことでいっぱい。
それから程なくして友人と解散となったのであった。

まだ4月。夏が控えている。
今年のG対策グッズを検索しまくりたいと思う。
飲食店で壁にもたれかかるのは極力やめよう。

KAもふわふわ空中を漂っている所を度々お見かけする。
先日も手漕ぎボートに乗る機会があったのだが、池の端の方に行くと彼らがたむろっているのである。
ぎゃーっと思っていると、更に彼らはボートの上に乗り込んできたのである。
何とアグレッシブな方達なのだ。
私の頭の中はもう『KA刺される』で埋め尽くされた。
結局刺されなかったが、G同様夏を迎えるにあたっての対策を痛感。

願わくば彼らのいない世界に行きたい。

出来るまで

 2011年より、かくらかるという名前で始めたソロ活動も、気付けば三年以上の時が経った。
時折心優しい方々が下さる「音源作らないんですか?」というお言葉に、『作りたいと思ってるんですけどね~』と曖昧な返事をし続けていた。

一人は、いくらでもやりようがあると思う。
下手したら、リハーサルスタジオの備え付けのマイクで一発録音し、CD-Rに焼き、はい音源です、とやっても良いわけだ。
どうしようか・・・と都度考えるが、そこは一人。
あんたぁ~さっさと行動しなさいよ!!などと傍で尻を叩いてくれる母のような人もいないわけで、ぐうたらな私はそのまま手を付けずにいた。

 そこに昨年秋、SOSITEのアルバムを2枚リリースしているレーベル、Secreta Tradesのディレクターの方がソロアルバムの話を持って来て下さった。
その時は、嬉しさと不安で胸が一杯になったが、あれよあれよという間に今を迎えている。

全曲の録音、MIX、マスタリングをゆらゆら帝国、BORIS、OGRE YOU ASSHOLEに始まり数多くのバンドを手掛ける中村宗一郎さんにやって頂くというだけでも、なんと豪華・・・と思っていたが、赤犬/MaNHATTANの 濱本大輔さんとPAELLASの金菱雅春さん、Crypt Cityの中尾憲太郎さん、戸高賢史さん、小松正宏(お馴染みの小松さん)さんという、豪華さに輪をかけたような方々にバンド形態での収録にご協力して頂くことになり、もう私は頭がクラクラというか、緊張で吐くかと思った。
すみません、吐くはオーバーに言い過ぎましたが、震えた。

上にも書いたが、根がぐうたらであると同時に、私は追い込まれて力を発揮するタイプ、という楽天的な自負というか自分への妙な過信があったため、録音日が決まっているのに、曲は出来ていないというプレッシャーを味わうことになった。
高校の先生が言っていた「明日やろう、なんてその明日が来ることは必ずと言っていいほど無いぞ」という言葉を何故もっと頭に叩き込んでおかなかったのか悔やんでも、時は戻ってこないのである。

しかしいつも気付いたら壁を乗り越えているもので、曲はギリギリながら無事にでき、緊張の中、計11曲の録音を行うことが出来た。
尚、アルバム収録曲は10曲で、あと1曲は先着購入特典CDRに収録されます。

SOSITEでやってきたことと比べると、かなりPOPなものになったなと思う。
暗さももちろんあるけど。
今回の作品のジャンルは店頭だとJ-POPになるそうで、何だか新鮮です。

もっと詳しいことは、また別の場所でお話できたらなと思います!