パンチ

 先程、料金の支払いをしたくファミマに行った。ファミポートで支払い票を打ち出さなければいけないが、先客の女性が操作していた。 店内をしばらくうろうろし、もう終わったかなーと再度行くと、まだやっている。
仕方ないので斜め後ろに並んだ。
違う方向をぼーっと見たりしていたが、まったく終わらないので、画面を覗き見した。
女性は何やら、OKと戻るのボタンを交互にずっと押している。
反射してよく見えないが、これでよろしければOKを押して下さい→OK
何かの表示→戻る
どうやらこれをずっと繰り返しているらしい。
意味が分からない。
大きめにため息をつくなどアピールしてみたが、女性はその操作をやめずファミポートの前から動く気配がなかったので、諦めて外に出た。
彼女は一体何をしていたのだろう?
と、ここまで書いて、何かライブチケットの争奪戦でもやっていたのだろうか、という考えが頭に浮かんだ。
それならあの操作も分かる。

高校生の頃、CDをレンタルショップで借りて某バンドを好きになった。
ライブに行きたいと思い調べると、そのバンドは既に解散が決まっており最後のライブがあることを知る。
そのライブのチケット予約開始の時間に公衆電話に行き、掛けるも掛けるも全く繋がらず、家に帰りまた掛けるも繋がらない。
チケットは即ソールドアウトだったらしい。

そんなことを今思い出した。
まぁあの女性がチケットを取ろうとしていたかは分からないが、イライラしていた私の気持ちが、無事チケット取れるといいね!に変わったことは、儲け物だ。


 ある日の夜更け、家のすぐ横のごみ捨て場で猫がごみを漁っていた。
あの体格、色、まさか以前に書いた猫!?と思い、急いで家に帰り鰹節片手に戻る。
腰を落として猫の顔を見てみると、前の猫と違う。
前の猫はずっとにらみを利かせているような目だったのに、今回の猫はまん丸の目。
体系や色は同じなのにな、と思いながら鰹節を地面に置く。
しばらく警戒していたが、最終的に食べる猫。眺める私。
猫は食べながらも私を警戒してこちらを見ていることが分かる。
もう一度、猫より少し離れた所に鰹節を置こうとした瞬間、
猫パーーーンチ!
私の手めがけ、猫がパンチしてきたのである。
幸い指先を少し掠めた程度だったが、触ろうともしていないのにそんなことをされるとは思いもしなかったので、動揺した。
腹立たしくも思い、このまま帰ろうかと思ったが、結局また眺めて、あげてを繰り返した。
先代はそんなことしなかったわよ!と思うのと同時に、常に警戒を緩められない野良で生きていく厳しさも感じ、帰って念入りに手を洗った。