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ご飯を食べた後は、後藤さんの奥様と会場へ向かう。
一体どんな所なのかと思っていたら、私の地元にあるツタヤを倍以上大きくしたような建物がドーンと現れ、「こ、こ、ここですか・・・?」となる。
今回は後藤さんが藤野恵美さんのアルバムリリースを手伝っており、そのプロモーション活動の一環でこちらでライブをすることになり、私も混ぜていただいたというわけだ。
ライブスペースに向かうと、看板など立派なものを作っていただいており驚く。
リハをしていると、何やってんだ、という感じで一般のお客さんが覗くが、少しするとフーンという感じで去っていく。あぁ本番はどんな感じなんだ。
ドキドキしている暇もなく、控え室に行き藤野さんとご挨拶して、今日は喉の調子が悪いと言う藤野さんは、これいいんですよと龍角散ダイレクトピーチ味を下さった。
ありがたくいただき、これで喉の調子はバッチリや!!とステージへ。
店内のBGMと、お客さんの話し声をバックにしての演奏。
更に蛍光灯の光がさんさんと降り注ぎ視界も良好、周りの様子が嫌でも目に飛び込んでくる。
初めてだらけの空間にうろたえつつも、ミ、ミュージシャンは、どんな環境でだってライブ出来なければならない・・・はず・・・!
と燃えたものの、ライブが終わる頃にはその炎はすっかり鎮火されたへなちょこである。
その割りに控え室にあった差し入れのドーナッツはきっちりいただく。
藤野さんのライブは私と違い、MCから何からキッチリされていてうらやましくなる。


その後藤野さんの二軒目のライブ会場(素敵なお店)に後藤さん達と一緒に行く。
準備中に店を抜け出し外を眺めると、夕暮れの空と住宅街が何だか切なくさせられる絵になっており、写真を撮る。
時間になると、地元のバンド界隈の方達がぞくぞくといらっしゃって、皆さんの絆の深さに勝手に胸が熱くなった。
その後ライブを途中まで観ていたらもう帰らなければならない時間。
後藤さん夫妻に近くの駅まで送っていただく。
あっという間の二日間。
お礼とお別れを言う。
名残惜しいし、荷物は重いし、暑いしでヨロヨロと改札に向かった。
ホームのベンチに荷物を置き電車を待つ。
隣は法事帰りのような礼服のおじいさんおばあさんと娘と孫娘家族。記念撮影を自撮りされようとしていたので、撮影を申し出る。
そういえば家の祖父母は元気だろうか。故郷に想いを馳せた、多分。そうであってほしい。
到着した電車に乗り込むと、通路を挟んだ横の席では、「昔やんちゃしてました」系中年男性達と女性が宴会をしており、寝ようと決めていた計画は崩れ去った。
ひたすらゲームをすること二時間。
横の席は最初トランプでどんちゃんしていたが、いつの間にか男性二人で熱い仕事の話をしていた。
熱くなるのは勝手だが、もう少し声を抑えてほしい。と思いつつ、しっかり耳をそばだてる。
上野に着き、乗り換え。私が壁に立て掛けたギターが、目を放した隙に倒れそうになったのを、隣にいた好青年が支えてくれ、ドキッとする。
ドラマだとそこから何か始まるのかもしれないが、特に何も起こらないこの現実をよく味わう。

そんなこんなで家に無事着き、二日間のことを思い返しながらマミー(肌布団の名前)に包まれ私の福島遠征が終わった。