拍手

  明け方、外が何やら若者達の声でがやがやしている。 こんな時間にうるさいなぁ・・・と思ったのも束の間、声と共に拍手が聞こえてくる。 拍手の音はどんどん大きくなり、若者達は窓のすぐ外?え、私の部屋にいる?
そんなことを頭が巡ったので、もしや・・・と薄目を開けると、体が固まっている。
そう、金縛りである。
体が動くのを待っている内に音は遠のいた。
体に自由がきいてから、部屋を近眼の目で見渡しても何かいるようには見えないので、また眠りにつこうとしたが、元来の小心者根性で結局明かりをつけて眠ったので、何だか今日は寝た気がしない。
金縛りというのは、脳が起きていないことで体との連携がうまく取れずになる現象だとは分かっているが、金縛り=SIN0現象という昔からの刷り込みがどうも消えない。
万が一そういった現象だとすると、私は何か拍手を受けるようなことがあっただろうか?
通勤中ずっと考えてしまった。
今日はもしかしたら何かいいことがあるのかもしれない・・・!と思ってから、一日の半分以上が過ぎたが、そのようなことはまだ起こっていない。


 先程、人と言い合いのようなことをし、どちらもしばらく自分の主張ばかりをしていた。

これ、デール・カーネギーの本に書いてあったことだ、と後から思う。
自分の意見を通したい時は、まず相手の意見を認める所から入らなければ、相手は聞く耳を持たない。
相手を否定して自分の意見を主張すればするほど、相手は相手の意見の正当性を分からせようと躍起になる、というようなことを色々な例を用いて説明していた。はず。
もう一度本を読み直して、人との話し合いの仕方を学び直さないといけないな。

ちょっと違うけど、その本の中で印象的だった内容。
かなりうろ覚え。


主人公が高価なカーテンを買ったが、実際部屋に付けてみると、安っぽそうに見えあまり良くなかった。しかし買ってしまったので、仕方なく部屋に付けていた。

ある日その部屋に招かれた客が、カーテンを見て言う。
「これおいくら?え、そんな高いの?それにしては安っぽいわねぇ。」
主人公は怒りながら、
「これはとてもいい物なんだ!この価値が分からないなんてあなたのお眼鏡も大したものではないな!」と客に言った。

別の日に、前とは違う客がその部屋に来て、カーテンを見て言う。
「これ、とても素敵なカーテンですね。私もこんなのが欲しいわ。さぞお高いのでしょう。」
主人公は客に言う。
「いえ、大したものではありません。実は業者から言い値で買ったのですが、ぼられたのではないかと思っているのです、お恥ずかしい。」