店の面々

 先日、吉田類の酒場放浪記でも取り上げられたことがあるという居酒屋に行った。
時間は昼で、ランチを食べに行ったのだ。
一人だったので、カウンターに座るよう言われる。
カウンター越しは厨房だ。
焼き鳥と鰻の店で、私は前から食べてみたかった焼き鳥重を注文。
程なくして熱々のおしぼりを渡され手を拭く。
お茶もきたので、早速飲もうと湯呑を口元に持っていくと、ん・・・?
私の大嫌いな雑巾生乾きの臭いがする・・・?!
眉をしかめて湯呑を置く。何だ何だと手を鼻に近づけると、臭いが濃くなる。
何か来る時変なものでも触っただろうか?
思い返すも心当たりなく、ふと目に入ったおしぼりを手に取ってみたら、
「これやないかい!!!」
原因判明で、私の気持ちは萎む。
目の前の厨房には、おかみらしき人、店の主人らしき人、その息子らしき人がいる。
主人と息子が料理しており、おかみは指示を出したり、配膳の準備だったりをしているようだ。

おかみ「何番さん何番さんまだ出てないよ!もっと早くしなさいよ!」
息子「ここは吉野家じゃねーんだよ!!×4」

うわぁ・・・
ホールにいる娘らしき人は、新しく入ってきたお客に「満員ですのでお待ちください!」と言った後、はぁーと、思い切り溜息をついたりしているし、何かすごい店だな・・・と所在なく待つ内に出てきた焼鳥重は、味は美味しかった。お肉の量が寂しかったが。
わざわざお金を払ってあの人達のすったもんだを見たくないし、雑巾くさくなりたくないしで、もう行くことはないと思う。



 先程、食料品等のディスカウントショップのような店に行った。
小さい店で、賞味期限が近いものなどを安く仕入れて売っているようだ。
夜にあるライブの時に飲む水を買っておこうと思い、ペットボトル片手にレジに並ぶ。
レジは一つで、レジを打つ店員と、商品を詰める店員(多分、と言うのも他の場所を眺めていて確認していなかった)女性二人が並んでいる。
レジを打つ方ではない店員に、お待ちの方どうぞ、と声をかけられペットボトルを渡した。
やいなや、その店員、ペットボトルを頭の高さに振り上げ、バンッ!!とレジ台に叩き付けた。
え?
予期せぬ出来事に頭がハテナでいっぱいの所に、彼女は大きく舌打ちした。
そして次に彼女は、すぐ隣にあった引き戸の出入口の扉を勢いよく殴りつけ、半開きの扉が、跳ね返ってまた半開きになっている。
え?え?
そしてそして次に彼女、レジの奥に置いてあった荷物の方に闊歩し、思い切り蹴り上げていた。
レジを打つ店員は怯えた目でそれを見ている。
私は思わず笑いながら、怯える店員にお金を渡した。

そのまま店を後にしたが、彼女に叩き付けられたこのペットボトルが、何か変な念でもこもっていたらどうしよう・・・と思い、よく行くコンビニに行き、水を買い直し、いつも通り丁寧な接客をされ、先程の頭いっぱいのハテナが洗い流されるような気がした。

もう二度とあの店には行かない!と思ったけど、もう一度あの店員を見てみたい好奇心も沸いている。



拝啓おばあちゃん


東京は色んな人がいる街です。