婚活居酒屋に一人で乗り込んだ話①

 人生に迷いや悩みがあった時、占いを受けたくなったことはないだろうか?
私はある。
当たっているかは別として、あなたはこうだから!と他人に言い切られた際のある種の爽快感は、悶々としている時には気分転換になるような気がする。

以前悶々した時に、占いでも受けに行ってみっか!と、一風呂入ってくっかのようなノリで占いを受けようと考えた。
しかし時折、面白いもの・変わったものを求めてしまう性分がこの時にも顔を出してしまった。
リサーチの末、ある日私は今まで全く縁のない駅に降りていた。

「先祖占い」というものを受けるためである。

何でもその店は、珍しい先祖占いをオーナーママがするそうなのだが、更に珍しいのは、そのお店は「婚活居酒屋」なのだという。

店があるビルの前に着いた私は、しばらく道路を行ったり来たりしていた。
2階にあるその店へ上る階段には、坂本竜馬がでかでかとプリントされ、端には仏像がたくさん置かれている。奥には阿修羅のタペストリー。
いくら面白いものが好きとはいえ、小心者の自分にはハードルの高い外観である。
店に入らずに帰ることも考えたが、というか全力で帰りたかったが、心の中の僅かな勇気を焚きつけ、坂本竜馬を踏みつけ、店のドアを開けた。

「イラッシャイマセ~婚活ですか?」
ネパール人(ネット調べ)の男性店員が言う。
私は静かにうなずきながら、占い受けられるんですよね?と聞くと、店員は大丈夫と答えた。
「お姉さんここに混ざって」と案内されたのが、非常に内気そうな男性2名と快活そうな女性1名におとなしそうな女性1名という2:2のテーブルであった。
皆さんは、え、何この女…?という感情を隠すことない眼で私を見ている。
『すみません、用事思い出したので帰ります!』と言いたくなったが、何とか引きつった笑顔で挨拶をした。
店員はすぐさま参加費を徴収し、飲み物とちょっとした食べ物を持ってきて乾杯を指示する。
ぎこちないにも程があるような空気の中、無理やり乾杯。
仕方がないので自分から適当に喋っていたら、男性の一人に、何回かこの店に来た事があるが一人で来る女性は初めて見たと、レアポケモンに遭遇した時のような表情で言われる。
そして、何故来たのか聞かれたので、『先祖占いを受けてみたくて』と答えた私に男性は言った。

「先祖占いするオーナーママは引退しましたよ」

『えぇーー!!?』

何ということだろう。
お店に来る前に電話で確認すれば良かった…。
どうして私はいつもこう…などと負の感情の渦に飲まれかけていた私に、男性は
「でも、今は違う人が占いをしているみたいです」と言う。


続く
…のか?


そんな私?の久しぶりのソロライブがあります!
新しく下北沢に出来たHALFにて。
楽しみです!

2019.8.21(wed)@下北沢HALF

NEW ROCKS

鈴木健介(salsa)/土屋竜一/中尾美羽子(FALSETTOS)/かくら美慧(SOSITE)

open/start 19:30/20:00

adv/door 2000/2500(+1D)